【実例つき】TOEICのスコアアップにつながる効果的な模試の復習方法

この記事ではTOEICのスコアアップにつながる効果的な模試の復習方法をご紹介させて頂きます。

TOEICの勉強をなさっている方の中には、仕事や家事、学業で忙しい中、限られた時間を勉強に当てておられる方も多いと思います。
ただ、仕事や家事、学業が忙しいなら、学習効率を上げて、少ない時間で効果的にスコアアップにつながる勉強をしなければなりません。

そしてそれは模試でも同じです。
TOEIC受験生であれば模試を受けられる方も多いのではないでしょうか。
書籍でもたくさんTOEICの模試が出版されていますからね。

ただ、模試はきちんと活用できるかどうかによって、効果は大きく変わります。
ですので、模試を受ける時はどのように問題を解き、どのように復習するかがとても重要です。

TOEIC模試の解き方や復習方法が分からないという方は、この記事を参考にして頂きたいと思います。
終わりの方で私の実例もご紹介していますので、そちらもご覧ください。

模試を活用してどのようにしてTOEICのスコアアップを目指すのか?

具体的な模試の復習方法の説明に入る前に、模試をどのように活用してTOEICのスコアアップを目指すのかという点を簡単にご説明いたします。
最終的な目的地点がハッキリしているほうが、本題である復習方法の話も理解しやすくなると思いますので。

確実に解ける問題を1問でも多く解けるようにする

TOEICのスコアを上げる方法には細かい受験テクニックもありますが、やはり大前提として一定の英語力が備わっている必要があります。
そして、この英語力というものは曖昧な知識で身に付くものではなく、実際のテストで使える確実な知識でなければなりません。

今回ご紹介する模試の活用法の目的は、自分の知識の範囲を明確にすることによって、TOEICで解ける問題と解けない問題を的確に見分け、ムダな時間をかけないようにする、という点です。
簡単に言うと、解ける問題を確実に解き、解けない問題はサッサと諦める。
そして「確実に解ける問題」を1問でも多く解く。
こうすることでスコアアップを目指していきます。

ではどのようにして「確実に解ける問題」を1問でも多く解く力を身に付けるのか。
以下で説明させて頂きます。

曖昧な知識を正確な知識に変える

まず、TOEICを解くに当たり、すでに自分の得点源になっている知識があると思います。
今まで勉強してきて理解できている正確な知識です。

その正確な知識に加えて、もう1つ得点源にしたいのが、今まで勉強したことはあるけど曖昧にしか理解できていない知識です。
この曖昧な知識というのは、いざ問題を解こうとすると自信を持って答えることができないものの、全く知らないわけではないはずです。

つまり、何となく分かっているという状態です。
ですので、この「何となく分かっている知識」を「正確な知識」に変えることができれば、得点源になる知識が増えます。
今回ご紹介する模試の活用法は、「何となく分かっている曖昧な知識」がどれなのかを明らかにすることに主眼を置いています。

曖昧な知識を明らかにして、それを重点的に復習する。
こうすることで正確な知識が増えていくからです。

それでは以下、曖昧な知識を得点源に変える模試の活用法をご紹介します。

TOEICのスコアアップにつながる模試の解き方と復習方法

今回の模試の活用法において軸になるのは解き方と復習方法です。
ただ単に模試を解いて復習をするのではなく、以下の3つを意識して行います。

・1:どんな知識が曖昧なのか把握する。
・2:その曖昧な知識を重点的に復習する。
・3:時間の使い方が適切だったかチェックする。

 
この中でも、1の結果をもとにして、2から3へと進んでいきますので、最初の1が最も重要になります。

1:どんな知識が曖昧なのか把握する

まずは、自分が持っている知識のうち、どんな知識が曖昧なのかを把握することがスタートです。
そのために、模試を解きながら手応えを記録していきましょう。

具体的には、問題を1問解くごとに、

・自信をもって回答できた場合は○
・あまり自信がない場合は△
・全く自信がない場合は×

 
というように、解答した際の手応えを1問ずつ三段階で記録していきます。

それと同時に、解答にかかった時間もチェックしておきましょう。
こちらは3段階ではなく、解答に時間がかかった時だけ「L」印をつけて下さい。
「L」とは「時間が長くかかった」という意味で「LONG」の「L」です。
(この「L」印をつけた問題の処理については後ほどご説明いたします。)

以上のように印をつけながら問題を解いたら、次に答え合わせをします。

答え合わせをすると、自信の有無正解・不正解の組み合せが6つ出来上がります。
以下のような組み合わせです。

【1】自信あり・正解
【2】自信あり・不正解
【3】あまり自信がない・正解
【4】あまり自信がない・不正解
【5】全く自信がない・正解
【6】全く自信がない・不正解

それぞれの組み合わせについて

上でできた6つの組み合わせについてそれぞれのポイントをご紹介します。
まず、【3】【4】の「あまり自信がない」と【5】【6】の「全く自信がない」の組み合せは、正解・不正解は重要ではないということがポイントです。
なんで自信がない問題の結果が重要じゃないの?と思われたかもしれませんが、ここでの目的は「どんな知識が曖昧なのか把握する」ということです。
であれば、「あまり自信がない」の△をつけた【3】【4】の組み合わせは、結果が正解であろうと不正解であろうと「曖昧な知識」ということになります。
したがって、【3】と【4】になった問題は、重点的に復習して「正確な知識」に変えなければなりません。

また、【5】【6】の「全く自信がない」というのは、全く知らない知識である可能性が高いので、この問題の復習は後回しです。
もし時間に十分な余裕があるのであれば、このような「全く知らない知識」も身に付けていいかもしれません。
ですが、限られた時間の中で、まずは曖昧な知識をしっかり理解して得点源にすることを目指すのであれば、この「全く知らない知識」の勉強は優先順位を下げましょう。

ちなみに、【5】の「全く自信がない・正解」のパターンも、たまたま正解しただけであって、その正解は実力とは無関係です。
そういう意味で【5】【6】も結果がどうだったかは重要ではありません。

最後に、【1】【2】の組み合わせを見てみましょう。
【1】自信あり・正解のパターンは、自信をもって解くことができて、なおかつ正解できた訳ですから、その知識はしっかり理解できていると言えます。
ですので、時間をかけて復習する必要はなく、ざっと目を通しておけば十分です。

逆に、注意しなければならないのは【2】自信あり・不正解のパターンです。
これは、自信があったのに不正解だった訳ですから、誤った知識を正しく理解しなければなりません。
しっかり力を入れて復習する必要があります。

さて、以上により、自分の知識のうち『どんな知識が曖昧なのか』を把握することができるはずです。
具体的には、下記のようになります。

【1】「自信あり・正解」・・・しっかり理解できている
【2】自信あり・不正解・・・誤って理解している
【3】あまり自信がない・正解・・・曖昧な知識
【4】あまり自信がない・不正解・・・曖昧な知識
【5】全く自信がない・正解・・・全く知らない
【6】全く自信がない・不正解・・・全く知らない

 
ここまでできたら、以上の結果をもとに復習をするのですが、優先的に復習すべき知識は【2】【3】【4】の問題となります。

2:把握した曖昧な知識を重点的に復習する

ここから「6つの組み合わせ」を優先順位に応じて復習していきます。
以下が、それぞれの組み合わせの優先順位です。

復習の優先順位

【1】自信があって正解できた問題
この知識は問題ありません。
しっかり理解できているので、曖昧な知識を復習した後に要点を確認する程度で十分です。

【2】自信があるのに間違えた問題
これは理解が正確ではないということなので、どこを間違って理解しているのかしっかりと復習して、次回は確実に正解できるようにしましょう。

【3】【4】あまり自信がなかった問題
これは正解か不正解かを問わず、曖昧な知識をなくすためにきちんと復習して、次回は自信をもって回答できるようにしましょう。

【5】【6】全く自信がなかった問題
この問題は、答えが合っているかどうかより、時間をかけずに次の問題に進めたかどうかをチェックします(詳しくは「時間の使い方をチェックする」のパートで説明します)。

【5】【6】の知識に関して、自分の知らない知識があると不安なので真っ先に勉強したくなると思います。
ですが、全く知らない知識を新たに覚えるには、多くの時間と労力が必要になります。
それよりも、曖昧な知識をしっかり理解する方が効率的です。
ですから、【5】【6】は【1】~【4】のあとで余裕があれば復習する、くらいの意識で構いません。
全く知らない知識を勉強したくなる気持ちをグッと押さえて、まずは曖昧な知識をしっかり理解することを優先させましょう。

リスニングの復習方法

リスニングの復習方法として、何が原因でできなかったのかを明らかにすることから始めましょう。
リスニングができない原因として、音は聞こえていても内容が頭に入っていない場合と、そもそも音が聞こえていない場合があります。

英文を聞きながら内容を理解する

前者の場合、聞こえているはずの英文の内容が理解できていないわけですから、英文を聞きながら内容を理解するトレーニングが必要です。
リスニングだけでなく、リーディングでも和訳しながら読むのではなく、和訳せずに英文のまま内容を理解できるようにしましょう。

ただ、英文のまま理解するといってもいきなりは難しいと思いますので、簡単な英文からで構いません。
そもそもリスニングで読まれる英文はリーディングで出される英文より簡単なものが多いので、簡単な英文を和訳せずに理解できるようになれば、リスニングの英文もカバーできます。

耳を英語に慣れさせる

これに対し、音が聞こえていないためにリスニングができないという場合、ゆっくりとしたスピードから聞き始めて徐々に早くするトレーニングが有効です。
音が聞こえていない場合は、耳が英語に慣れていない可能性が高いので、まずは耳を英語に慣れさせる必要があります。
そのためにも、ゆっくりとした英文で英語の音に慣れ、少しずつスピードを上げていくことで、徐々に聞き取れるようになっていきます。

音読して英語の音を理解する

また、英文を音読して英語の音を理解するのも、リスニング対策として有効です。
なぜリスニングのトレーニングに音読が効果的なのかというと、知らない音は聞き取れないからです。
たとえば、「たくさんの」を意味する a lot of という表現は、そのまま読むと「ア ロット オブ」ですが、実際には「ァラロォブ」のような発音になります。
a lot of という表現は知っていても、「ァラロォブ」という発音を知らなければ、a lot of が読み上げられても聞き取れません。
そこで、この表現を声に出して読むことで、実際の発音が理解できるようになり、結果的に聞き取ることもできるようになるわけです。

この音読も、最初はゆっくりから始めて、少しずつ読むスピードを上げていけば、それだけ効果も上がります。
リスニング対策として音読で発音をトレーニングするのは、遠回りのように思えて実は非常に役立つトレーニングですので、一度チャレンジしてみてください。

リーディングの復習方法

TOEICのリーディングでは単語、文法、読解の3つの力が総合的に求められます。
したがって、復習もこの3つを重点的に行います。

単語、文法、読解について、どこまで理解していて、どこから理解できていないのかを明らかにして、理解できていない知識を補う。
これを繰り返し行ってリーディングの力をつけていきます。

まずは文法から復習する

単語、文法、読解のうち、最も力を入れるべきは文法です。
文法は英文の骨格に当たり、内容を理解するのに必要不可欠なので、文法が理解できていなければ、リーディングは解けないからです。

もちろん単語も読解力も必要ですが、この2つの学習に終わりはありません。
一方、文法の学習には一定のゴールがあります。
そのゴールとは中学英語レベルです。

TOEICで出題される文法知識は本当に基本的なものばかりで、大学受験で出されるような文法知識は必要ありません。
ですので、まずは文法を優先的に復習して終わらせることで、残りの2つ、単語と読解に時間かけられるようになります。

単語と読解は「分かりそうなもの」から復習

文法が終わったら単語と読解の復習に入りますが、その際のポイントは「分かりそうなもの」から復習するということです。
というのも、TOEICはさまざまなレベルの人が同じ問題を解く試験であり、中には上級者でも解けないような難しい問題も含まれています。
そのため、全部を復習しようとすると、かえって効率が悪くなってしまいます。
それよりも、何となく分かりそうな問題から復習した方が効率的です。
何となく分かりそうなものは、勉強したけど正確には理解していない、つまり曖昧な知識である可能性が高いからです。

ですので、この「何となく分かりそうな曖昧な知識」を、自分の得点源になるまで何度も復習していきましょう。
曖昧な知識を正確な知識に変えていくということが、スコアアップのための近道です。

3:時間の使い方をチェックする

最後に、時間の使い方が適切だったかをチェックします。
チェックするのは、【5】【6】の「全く知らない知識」です。
ここに「時間がかかった」を表す「L」がついていませんか?

「×」つまり「全く知らない知識」と「L」つまり「時間がかかった」の組み合わせは、時間の使い方が適切でないことを表しています。
全く分からない問題に時間をかけるより、少しでも自信の持てる問題を優先すべきだからです。

「時間をかけたのに結局自信をもって解答することができなかった」というのはスコアアップを目指す上で絶対に避けなければなりません。
なぜ見切りをつけられず、ズルズルと引っ張ってしまったのか検証しましょう。

例えば、
・使われている単語をざっと見て難しそうだと気づかなかったか
・長文を読んで内容が理解できないまま問題を解こうとして、また長文を最初から読み直したりしていないか
などです。

出来ないものは出来ない。
確実に解ける問題を確実に解く。
こういう意識をもって1問1問に臨み、時間を管理しましょう。

また、もし余裕があれば、「自信をもって正解できたけど時間がかかった」という問題も、どうすればもっと早く解けたのかという点を検討してみるとさらに良いです。

時間管理の方法については、下記のページでもご紹介していますので、参考にしてみてください。

TOEIC本番で実力を出せる受験テクニックをまとめて4つご紹介します。

実例でイメージをつかんで下さい

以上、TOEICの模試の解き方と復習方法をお伝えしてきましたが、文章で読むだけでは分かりにくいかもしれません。
ですので、私の実例をご覧頂き、具体的なイメージをつかんで頂ければと思います。
自宅で実際に模試を解いた時の解答用紙の画像です。


▲模試を解き終えた時点での解答用紙です。
マークした所に、自分の手応えに応じて○△×の印をつけています。
またNo.159・162・176・180には、時間がかかった「L」もつけています。


▲答え合わせをしたところです。


▲自分の手応えと正解・不正解を照らし合わせて、復習の優先順位を決めます。

まず知識面で復習すべきは曖昧な知識。
つまり「あまり自信がない」の△をつけた問題(【3】【4】のパターン) と、「自信がある」と思ってマルをつけたけど不正解だった問題(【2】のパターン) です。
これらはピンクのペンで問題No.をチェックしています。

知識面で要点だけ確認しておけばよい「自信があって正解した問題」(【1】のパターン)には黄色でチェックしています。

全く自信がないためバツをつけた問題(【5】【6】のパターン) は最後に回して、時間に余裕があれば勉強しましょう。
(No.138・145・152・168です)

ただ、バツをつけた中でもNo.176は時間がかかった「L」をつけています。
これは時間がかかったのに、全く自信が持てないというパターンです。
前述の通り、こういう解き方は絶対に避けなければいけないので、なぜサッサと見切りをつけられなかったのか、しっかり検証しなければなりません。
No.176はそういう意味で優先順位が高いので、赤で目立たせています。

このようにして、ピンクや赤を最初に復習して、その次に黄色、何も色をつけていないものは最後、という順番を決めた上でそれぞれ復習していく、という流れになります。

注意事項:これは本番の試験で絶対NG!

最後に1つ、とても重要な注意事項があります。

実際にTOEICを受験したことがある方はお分かりだと思いますが、本番の試験では【問題用紙への書き込みは厳禁】です。
今回お伝えした方法は問題を解くたびに印をつけていくというものですが、本番の試験では、問題用紙には何も記入してはいけません

私も、以前からテキストや問題集に直接書き込みながら解いていたので、ついクセで本番で印をつけそうになるのですが、「本番の問題用紙は記入禁止」ということを覚えておいて下さい!
そもそも本番の問題用紙は持ち帰ることができないため、印をつけても復習できません。

本番では解答用紙に答えをマークするだけ!
この点だけご注意頂きたいと思います。

最後に

以上がTOEICの模試の解き方と復習方法の説明となります。

いかがだったでしょうか?

1回読んだだけで全てを理解することは難しいと思いますので、再度全体を見直して日々の勉強で実践してみて下さい。
今回お伝えした内容は、読むだけではなく、実践してはじめて自分のものになるものです。
最初は面倒に感じるかもしれませんが、慣れてくると学習効率の良さに気づいて頂けると思います。

ぜひTOEICの模試を受ける際は、今回の内容を活用してスコアアップにつなげてください!