今回は時制について学習します。
時制とは、文が表す時間によって動詞を変化させるルールです。
時制そのものは日本語の文法上も存在する概念ですし、私たち日本人も日常的に使っているので、基本的には理解しやすい内容だと思います。
ただし、英語の時制の中には、完了形のように日本語ではあまり意識されないものもあります。
下記のように、日本語でも馴染みのある時制と、そうでない時制があると思いますので、メリハリをつけながら学習していきましょう。
基本的な時制の種類
・現在形
・現在進行形
・未来形
・過去形
・現在完了形
現在形
最初は現在形です。
現在形とは、習慣や通例として普段から行っている行為や動作を述べる場合の時制です。
たとえば、I go to bed at 10pm every day.(私は毎日10時に寝る)、They speak English.(彼らは英語を話す)などです。
現在形では基本的に動詞の原形を使いますが、第2回「品詞」の中の動詞のパートでご紹介したように、三人称単数現在つまり現在形でも主語が三人称かつ単数の場合は動詞にsが付くという変化が生じます。
※第2回「品詞」三人称単数現在の説明は>>コチラから。
三人称とは、主語が話し手(IやWe)と聞き手(you)以外になる場合です。
たとえば、he(彼)やshe(彼女)、it(それ)やthat(あれ)、an apple(1つのリンゴ)やa car(1台の車)などです。そしてこれらはいずれも単数です。
一方、三人称でもthey(彼ら)は1人ではないため単数ではありませんし、applesやcarsも複数形を表すsが付いているように、こちらも単数ではありません。
時制の話題に話を戻すと、基本的に現在形の場合、動詞は原形ですが、主語が三人称かつ単数の時は動詞にsが付きます。
これはTOEICでもよく出題される文法知識ですので、しっかり押さえてください。
進行形
進行形は、今まさに行われている行為を表す時制です。
「~している」や「~していた」という表現は日本語にもあるので、イメージしやすいですよね。
動詞の形は「be動詞+~ing」とパターンが決まっています。
たとえば、I am drinking coffee.(私はコーヒーを飲んでいます)、She was studying French.(彼女はフランス語を勉強していた)などです。
未来形
未来形はこれから先のことを述べる時に使われる時制です。
未来という言葉からすると、何十年も先のことがイメージされそうですが、たった数分後のことも現在ではない以上、未来形になります。
未来形のパターンは2つ。
will を使う場合と、be going to を使う場合です。
両者とも動詞の原形が使われます。
たとえば、They will come here.(彼らはここに来るだろう)、I am going to watch this movie.(私はこの映画を見る予定です)という感じです。
willとbe going toは、厳密には意味の違いがあるのですが、文法知識としては細かい話になりますし、TOEICでその違いが出題されることはないので、今の時点で気にする必要はありません。
どちらも「~する予定だ」「~するつもりだ」「~するだろう」という意味で十分です。
過去形
過去形は過去のことを述べる文で使われる時制です。
日本語でも頻繁に使われる時制ですので、理解しやすいのではないかと思います。
ただ、文法としては理解しやすいものの、それぞれの動詞の変化は受験生を悩ませます。
たとえば、watch→watchedのように動詞の原形にedを付ければ済むパターンもあれば、see→sawのように、動詞そのものが違う形になってしまうパターンもあるからです。
細かく分類すると過去形の変化は様々なバリエーションがあるため、普段の勉強の中で1つずつ覚えていくしかありません。
現在完了形
時制の最後は現在完了形です。
現在完了形とは、過去から現在まで一定の行為や状態が続いていることを表す時制です。数年前や数日前のような過去の一点から今現在までという一定の幅で時間をとらえて表現します。
日本語にない表現ですので適切に訳すのが簡単ではありません。
日本語訳としては「~したところだ」とか「~している」、単純に「~した」となる場合もあります。
「~している」という和訳を見ると現在進行形と同じように思えますし、「~した」という和訳は過去形と同じに見えますが、現在進行形や過去形のように現在や過去の一点だけをとらえた表現ではないというのが現在完了形の特徴です。
過去に行った行為や過去に発生した状態が、現在もなお続いているということを現在完了形は表しています。
たとえば、I have eaten lunch.という文は「昼食を食べた」と訳すのが一般的ですが「食べている」と訳すこともできます。
「これ食べてみない?」と誰かに聞かれて「いや、私さっきお昼食べてるから遠慮しとく」と答えるような場面です。この場合、現在も食べている最中だという意味ではなく、さっき食べた状態が今も続いていることを意味しています。
英語の現在完了形はこのようなニュアンスです。
つまり、「ある行為を行った」または「ある状態が発生した」時点は過去だが、話し手はその過去だけではなく現在にも着目しているわけです。
要は、話し手がどの時点に着目しているかがポイントで、過去の「ある時点」での出来事に着目していれば過去形、現在の「まさに今この時点」に着目していれば現在進行形、「ある時点」という過去から「まさに今この時点」という現在にまで着目していれば現在完了形が使われます。
現在完了形は大きく分けて、経験・継続・完了という3つのケースで使われます。
1、経験
「過去に経験したことがある」ということを表す現在完了形です。
たとえば、I have visited this house.(私はこの家に訪問したことがある)です。
単なる過去形は I visited this house.(私はこの家に訪問した) となりますが、これは訪問した過去の時点だけをとらえた表現です。
一方、上に挙げた現在完了形 I have visited this house. は現在までを含んで表しています。
つまり訪問したのは過去ですが、その経験があるという状態は現在のことなので、単なる過去形ではなく現在完了形を使っているわけです。
2、継続
ある状態が過去から現在まで継続していることを表す現在完了形です。
たとえば、I have lived here for two years.(私はここに2年間住んでいる)や、I have loved them since last summer.(昨夏以来、彼らのことが好きです)などです。
この「継続」は、上の例のように for(~の間)やsince(~以来、~して以来)など、一定の期間継続していることを想定した前置詞や接続詞が使われることが多いので、比較的判断がしやすいと思います。
また、動詞自体も live(住んでいる)や love(愛している)といった状態を表す動詞、またはbe動詞(~である)が使われるため、この点からも判断が可能です。
3、完了
ある行為が完了したことを表す現在完了形です。
たとえば、I have finished my work.(私は仕事を終えました)です。
上で説明した「継続」では、一定の状態を表す動詞が使われますが、この「完了」は、ある動作や行為が完了したことを表すものなので、使われる動詞も動作や行為を表すものになります。
また、just(ちょうど今)、already(すでに)など、動作や行為が完了したという内容と相性のよい副詞が使われることも多いので、この点もヒントになるはずです。
以上が基本的な現在完了形の説明になります。
現在完了形は日本人にとって理解しにくい文法の1つなので、より多くの英文に接し、感覚をつかむことが大切です。
また、現在完了形が使われる3つのケースもご紹介しましたが、あくまでも典型的な例を示したに過ぎず、最終的には文脈から判断するしかありません。
他の時制と合わせて学習を進め、基本的な理解を深めていってください。
例文まとめ
最後に、この回出てきた例文をまとめておきます。
例文をクリックすると、説明の箇所に戻りますので、どの例文がどのような説明の中で挙げられていたのかを確認するためにご利用ください。
I go to bed at 10pm every day.(私は毎日10時に寝る)
I am drinking coffee.(私はコーヒーを飲んでいます)
She was studying French.(彼女はフランス語を勉強していた)
I have visited this house.(私はこの家に訪問したことがある)
I visited this house.(私はこの家に訪問した)
I have lived here for two years.(私はここに2年間住んでいる)