今回は品詞について学習します。
前回の文の構造と同じく、品詞も最初の段階では分かりにくい部分もあるかもしれませんが、最低限の内容は理解しておかないと後々の勉強がスムーズに進まなくなってしまいます。

やや抽象的な話が続きますが、具体例とともに理解するようにしてください。

そもそも品詞とは、言葉の性質や使い方に着目した分類です。

ただし、言葉の意味だけを暗記しても役に立つわけではなく、どの単語がどの品詞に該当し、どのような性質、使い方なのかを理解した上で使いこなせるようになる必要があります。

以下の説明を参考にしながら、実際の問題を繰り返し解きながらマスターしていきましょう。

名詞

名詞とは人や物、場所、概念などの名称を表す品詞です。
文のメインテーマである主語や、動詞の対象となる目的語、補語など、英文中で広く使われます。

たとえば、teacher(先生)、camera(カメラ)、park(公園)、time(時間)などです。

代名詞

代名詞とは、名詞そのものの代わりとして使われる品詞です。

何度も同じ名詞を繰り返し使うことを避けて文の流れをスムーズにすることができます。
また、人や物の名称が分からない時に「彼、彼女」「あれ、それ」と呼ぶことで、文を成立させることもできます。

代名詞の例として、I(私)、you(あなた)、he(彼)、she(彼女)、they(彼ら)、it(それ)、this(これ)、that(あれ)、などがあります。

これらの代名詞は、文のどの位置で使われるかによって形が変わります。
たとえば、「私」が主語で使われる時は「I」、名詞の前で「私の」という時は「my」になり、動詞の対象になる時は「me」になります。

動詞

前回少し説明しましたが、動詞は「~を作る」という動作や、「~である」という状態を表します。
たとえば、make(~作る)、run(走る)、drink(~飲む)という「動作」を表す動詞を一般動詞と呼び、am・is・are(~である)という「状態」を表す動詞をbe動詞と呼びます。

また、前回の>> コチラでも触れましたが、一般動詞には、look(見る)laugh(笑う)のように、動詞の後ろに名詞が入らなくても文が成立するものと、make(~を作る)have(~を持っている)のように動詞の後ろに名詞が入らないと「~を」の部分が埋まらず文が成立しないものがあります。
前者を「自動詞」、後者を「他動詞」といいます。

動詞の変化

動詞はシチュエーションによって形が変化することがあります。

代表的な例が時制による変化です。
時制については第4回で詳しく説明しますが、動詞が表す動作や状態が過去・現在・未来のどれに当たるかを示すルールを時制といいます。
日本語でも「食べる」という動作が過去の場合「食べた」と変わるように、どの時間における動作・状態なのかを動詞が変化することにより表すことができます。
このルールが時制であり、過去のことを表す場合、動詞は「過去形」と呼ばれる形に変化します。
すなわち、makeはmade、runはran、drinkはdrankと変わり、amやisはwasに、areはwereに変わります。

三人称単数現在

時制による変化のうち、現在を表す場合は現在形となりますが、その場合さらに主語が三人称かつ単数であれば、動詞にはsが付きます。
これも動詞の変化の1つです。
三人称というのは「話し手(I, We)と聞き手(you)以外の人や物」が主語となる場合を指します。

doctor(医者)、child(子ども)、car(車)、bag(バッグ)といった人や物の名称を表す名詞の他、he や she、it や this などの代名詞も三人称ということになりますし、それぞれの名詞の複数形、すなわちdoctors、children、cars、bags代名詞の複数形すなわち they も三人称です。

ただし、上にも書いた通り、動詞に s が付くという変化が生じるのは、時制が現在形で、かつ三人称で単数の場合(=複数形でない場合)のみです。
三人称でも複数形の場合は、動詞に s は付きません

時制による動詞の変化にはいろいろなバリエーションがあるので第4回でまとめて説明させて頂きます。

助動詞

助動詞は、動詞と組み合わせて使われ、動詞の意味に特定のニュアンスを付け加える特別な種類の動詞です。
特定のニュアンスとは、たとえば、可能性や能力、許可、予測、義務などです。

助動詞の後ろには動詞の原形が続きます。
また、助動詞も動詞のひとつである以上、過去形もあります。
ただ、助動詞の中には、過去形が「過去」の意味ではなく「丁寧さ」を表すものもあるので、そのようなケースでは意味の違いを読み取らなければなりません。

以下では代表的な助動詞を4つご紹介します。

1. can / could:能力や許可

能力:I can swim.(泳ぐことができる)
許可:You can go out.(外出していい)

can の過去形は could です。
I could play the guitar.(ギターを弾くことができた)

couldが疑問文で使われると、相手に何かを依頼したり許可を求めたりする丁寧な表現になります。
Could you open the window?(窓を開けて頂けますか?)
Can you ~?でも全く問題はないのですが、Could you ~?の方が丁寧さを表すことができます

2. may / might:可能性や許可

許可を表す助動詞として may もあります。
また、may には他に「~かもしれない」という可能性の意味もあります。

許可:You may stay here.(ここに滞在していいです)
可能性:It may rain tomorrow.(明日は雨が降るかもしれません)

ここでも may ではなく might を使うと、表現としては丁寧または控え目になります。
上の例では、You might stay here.にすると「ここに滞在して頂いて構いません」というニュアンスになりますし、It might rain tomorrow.(ひょっとしたら明日は雨が降るかもしれません)となります。

3. will / would:予測や予定、意志

予測:He will come again.(彼はまた来るだろう)
予定、意志:I will go to the store.(私は店に行くつもりだ)

この will も would という過去形がありますが、過去のことを話すよりも、丁寧で控え目な表現にするために使われます。
肯定文で使われると、He would come again.「おそらく彼はまた来るだろう」というニュアンスになり、疑問文で使われると、Would you come again?「また来て頂けますか?」のようになります。

4. should:義務や提案

should は「~すべきだ」と訳され、義務を表す助動詞の代表のように思われがちですが、それよりも「~した方がよい」と提案する意味の方が一般的です。
義務を表す助動詞としては must がよく使われます。
提案:You should rest.(あなたは休んだ方がいい)
義務:You must leave now.(すぐ出発すべきだ)

形容詞

形容詞は名詞の状態や特徴を表す品詞です。
たとえば、単なるdog(犬)ではなくsleeping dog(寝ている犬)といったり、small dog(小さな犬)といったりする場合に、犬の状態や特徴を表すsleepingやsmallが形容詞となります。

この場合、形容詞は名詞を直接修飾する働きをしています。

また、形容詞は、be動詞(~である)やget(~になる)など、状態を表す動詞の「~」に入って、主語の状態を説明する働きもあります。
これは、前回学習した第2文型や第5文型の「補語」という使い方です。
たとえば、The house is big.(その家は大きい)や、 My team got strong.(私のチームは強くなった)などです。

以上のように、形容詞には名詞を直接修飾する場合と、動詞の補語として名詞の状態を説明する場合があります。

副詞

副詞は動詞や形容詞、または文全体を修飾する品詞です。

動詞を修飾する場合は、その動詞が表す動作や状態を詳しく表現する役割を持ちます。
たとえば、I walked fast.(私は速く歩いた)I can see it clearly.(それがはっきり見える)という感じです。
単に「歩いた」「見える」だけでなく「速く歩いた」「はっきり見える」とすることで、歩き方や見え方が詳しく表現されていますよね。

同様に、副詞が形容詞を修飾する場合も、形容詞の内容を具体的に表現する役割になります。
たとえば、This is very easy.(これはとても簡単です)という文の場合、「簡単」を意味するeasyに「とても」という意味の副詞veryを付けることで、簡単さが強調されることになります。

副詞が文全体を修飾するというのは、文の内容に対する評価や感情を副詞で表現する場合です。
たとえば、Happily, we are healthy.(嬉しいことに、私たちは健康だ)の場合、we are healthy.(私たちは健康だ)という文に対する話し手(ここでは we )の感情がhappily (嬉しいことに)という副詞で表されています。

実は、副詞の位置によって文の内容が変わってしまうケースもあり、高校レベルの英語ではこのような副詞の用法を詳しく勉強するのですが、TOEIC初級や中学英語の段階では深く掘り下げる必要はありません。

接続詞

接続詞は、語句と語句、または文と文を結び付けつつ両者の関係を表す働きをする品詞です。

日本人にも馴染みのある接続詞は and ではないでしょうか。
and には、dog and cat(犬と猫)のように2つの語句を並べたり、I am a father and he is my child. (私は父親で、彼は私の子どもです)のように2つの事柄を順番に伝えたりする働きがあります。

他にも、A or B(AまたはB)という形で複数の中から選択する接続詞の or や、「なぜなら~」と理由を表す because、「もし~なら」という仮定の文で使われる if など、基本的な接続詞は英文を理解する上で欠かせませんので、早めに押さえるようにしましょう。

※接続詞は第6回で詳しく説明します

前置詞

前置詞は名詞の前に置かれ、先に述べられた事柄との関係を表す品詞です。

日本語にはない品詞ですが、「私に」や「私を」の「~に」「~を」といった助詞に近い働きをイメージすると分かりやすいかと思います。

ただ、英語の特徴的な点として「~に」や「~を」という意味が単語自体に含まれている場合と含まれていない場合があります。

たとえば、watchlook は、大ざっぱに言うとどちらも「見る」という意味ですが、正確に言うと watch には「~を」という意味が含まれており、look には「~を」は含まれません

これは、それぞれの動詞が持つ具体的な意味の違いによるものです。
というのも、watch は単に見るという行為ではなく、「注意して見る、観察する」という意味です。
注意して見る以上、当然その対象が想定されるので、watchには「~を」という意味まで含まれます。

これに対し、look は単に見るという行為のみに着目し、「見る」という行為を最もシンプルに表した動詞なので、必ずしもwatchのように対象が想定されているわけではありません
したがって、lookを使う場合に、見る対象についても述べる時は「~を」に当たる部分を表す言葉が必要になります。
それが前置詞 at です。
look(見る) は at(~を)が付いてはじめて「~を見る」となるわけですね。

このように、2つの語句の関係を表す働きを持つ言葉が両者の間に入ることで、文の意味が成立するというケースがあり、その働きをするのが前置詞です。

ただ、「2つの語句の関係を表す働き」と書きましたが、2つのうち後ろに入る語句は必ず名詞になります。
なぜなら、後ろに入る語句は、動作の対象や、前で述べられたことを詳しく説明する物や事柄であり、この「対象」や「物、事柄」を表すのは名詞だからです。
たとえば、look(見る) という動作の対象として at the map(地図を)という前置詞と名詞が置かれたり、a book(本)という名詞を詳しく説明するために on the table(テーブルの上の)という前置詞と名詞が置かれたりします。
この場合、look や a book に続く前置詞(at や on) の後ろに入っているのは the map や the table という名詞です。

この、前置詞の後ろには必ず名詞が入るという点は、TOEICの文法問題でも出される大切なポイントですので、しっかり理解してください。

ちなみに、前置詞の後ろには名詞が入ると書きましたが、代名詞も名詞に含まれるので前置詞の後ろに入れることができます。
ただし、その場合 I looked at him.のように形が変わることがあります。I→me、he→him、she→her、they→themといった感じです(youは変形しません)。
ちなみに、以上のようにwatchとlookの意味を整理すると、以下の2つの文の違いがはっきり分かるはずです。

I watched him.(私は彼を見た=彼を観察した)
I looked at him.(私は彼を見た=彼に目を向けた)

同じ「見る」という動詞でも、具体的な意味の違いによって、目的語(動作の対象となる名詞)の前に前置詞が必要になる場合とならない場合があるという点を、ここでは押さえてください。

前置詞には at や on の他にも to、for、in、by などいろいろな種類がありますが、英語を理解するためにとても大切な品詞ですので、出てくるたびにしっかり押ささえるようにしましょう。

※前置詞は第7回で詳しく説明します

冠詞

冠詞は名詞の前に置かれて、その名詞が特定のものを想定しているのか、一般的なものなのかを区別する品詞です。

冠詞も前置詞と同様、日本語にないので、なかなか理解しにくい品詞といえます。

たとえば、「彼はリンゴを食べた」という文の場合、そのリンゴがそれまでの文脈の中で話題にされていた場合、彼が食べたのは「特定のリンゴ」ということになり、英文は He ate the apple.となります。
逆に、前の文脈の中で特に話題にされていた訳ではない場合、彼が食べたのは「単なる1つのリンゴ」に過ぎないので、He ate an apple.になります。

実は、冠詞を完璧に理解して使いこなせるようになるには、かなりの練習が必要になるのですが、TOEICを受験する上ではそこまでする必要もありません。
あまり深追いせず、基本的なポイントを押さえるようにしてください。
 
 
==========

以上が品詞の説明になります。

名詞や動詞、形容詞、副詞、接続詞は日本語にも存在する品詞なのでイメージしやすいと思いますが、前置詞と冠詞は日本語に存在しない品詞なのでイメージしにくいかもしれません。
普段の勉強の中でも「あれ?この場合はどうなるの?」と疑問になるケースも出てくると思います。

ただ、普段の勉強の中で使い方を意識することで、徐々に理解も進んできます。
最初の段階で分からなくても、焦らず諦めず学習を続けていきましょう。

例文まとめ

最後に、この回で出てきた例文をまとめておきます。
例文をクリックすると、説明の箇所に戻りますので、どの例文がどのような説明の中で挙げられていたのかを確認するためにご利用ください。

I can swim.(泳ぐことができる)

You can go out.(外出していい)

I could play the guitar.(ギターを弾くことができた)

Could you open the window?(窓を開けて頂けますか?)

You may stay here.(ここに滞在していいです)

It may rain tomorrow.(明日は雨が降るかもしれません)

He will come again.(彼はまた来るだろう)

I will go to the store.(私は店に行くつもりだ)

Would you come again?(また来て頂けますか?)

You should rest.(あなたは休んだ方がいい)

You must leave now.(すぐ出発すべきだ)

The house is big.(その家は大きい)

My team got strong.(私のチームは強くなった)

I walked fast.(私は速く歩いた)

I can see it clearly.(それがはっきり見える)

This is very easy.(これはとても簡単です)

Happily, we are healthy.(嬉しいことに、私たちは健康だ)

I am a father and he is my child. (私は父親で、彼は私の子どもです)

I watched him.(私は彼を見た=彼を観察した)

I looked at him.(私は彼を見た=彼に目を向けた)

He ate the apple.(彼はリンゴを食べた)
 
>>第2回【品詞】のトップページへ戻る