これから中学英語を勉強するに当たり、最初は文の構造を理解することから始めましょう。
文の構造と聞くと何だか難しそうに感じるかもしれませんし、内容も抽象的に思えるかもしれません。
ですが、実はここが理解できていないがために「何だか英語が分からない」となってしまう人も少なくありません。
基礎の基礎になりますので、しっかりマスターしてください。
ただ、もしここの説明だけで理解できなかったとしても、心配しなくて大丈夫です。
今後さまざまな英文に触れ、具体的な単語の意味や文法知識を理解する中で、ここの説明も少しずつ分かってきますので、ある程度勉強が進んだ段階で再度ここに戻って頂ければと思います。
基本的な文の形は日本語も英語も同じ。
よく、日本語と英語は文の形が違うから難しいと言われることがあります。
これは半分正解ですが、半分は不正解です。
その理由は以下の説明を最後まで読んで頂ければ明らかになります。
日本語も英語も「主語」と「述語」でできています。
「主語」とは、まさに文の「主となる語」つまりメインテーマ。
誰についての話なのか、何についての話なのか、という時の「誰について」「何について」の部分が、その文のメインテーマであり「主語」となります。
「述語」とは、主語について述べている部分。
メインテーマである主語だけでは文は成立しません。
主語がどうなのか、何をしたのか、といったことまで述べて初めて1つの文になります。
この「どうなのか」「何をしたのか」という部分が述語になります。
具体例を挙げると、日本語で「私は昼食を作った」という場合の主語は「私は」で、述語は「作った」の部分です。
これを英語にすると I made lunch. となり、主語は「I」で、述語は「made lunch」。
このことから分かるように、日本語も英語も「主語」+「述語」の順番で文が作られています。
つまり、「主語」+「述語」の順番になるという点は、日本語も英語も同じということです。
では、よく言われる「日本語と英語は文の形が違う」というのはどういうことなのでしょうか。
日本語と英語では述語の中の順番が違う。
日本語と英語は文の形が違うというのは、述語の中の話です。
先ほどの例でいうと「私は昼食を作った(I made lunch.)」の述語は「昼食を作った(made lunch)」の部分です。
日本語では「昼食を作った」となりますが、英語では made (~を作った)が先で、その後に lunch(昼食)が来るという語順です。
別の例を挙げると「私は幸せである(I am happy.)」の述語は「幸せである(am happy)」の部分です。
日本語では「幸せである」という語順ですが、英語では am(~である)が先で、その後に happy(幸せ)が来ます。
以上をまとめると、日本語と英語では「主語」+「述語」という順番は同じだけれど、述語の中の語順が違うということになります。
英語の「述語」を詳しく見てみましょう。
英語の述語にはいくつかのパターンがありますが、どのパターンにも共通して入るパーツがあります。
それは「動詞」です。
先ほど挙げた2つの例でいうと、I made lunch.の「made」、I am happy.の「am」です。
動詞は「~を作った」という動作や、「~である」という状態を表します。
前者のように、make(作る)、run(走る)、drink(飲む)という「動作」を表す動詞を一般動詞と呼び、後者のように、am・is・are(~である)という「状態」を表す動詞をbe動詞と呼びます。
I made lunch.の「made」や I am happy.の「am」の位置から分かるように、動詞は主語の直後、言い換えると述語の先頭に来るのが基本です。
動詞が述語の先頭に来るということは、述語の中で動詞の後ろに他のパーツが入る場合もあることを意味しています。
後ろにどんなパーツが入るかは動詞によって変わりますし、動詞の後に他のパーツが何も入らない場合もあります。
このように、動詞によって文の構造が変わってくるのですが、そのパターンは全部で5つ。
文法上このパターンを「文型」と呼び「第1文型」から「第5文型」まであります。
以下、文法用語がいろいろ出てきますが、今の時点で用語の意味があまり分からなくても、気にする必要はありません。
大事なことは、英文の基本的な構造、パターンを理解することですので。
第1文型
第1文型は、I walked.(私は歩いた)のように、主語と動詞だけで成り立つ文のパターンです。
実際に使われる英文では、I walked yesterday.(私は昨日歩いた)や、I walked to the station.(私は駅まで歩いた)のように、「私は歩いた」という内容をより詳しく説明するパーツが付くことが多いのですが、それらのパーツはあくまで付属品にすぎません。
このパターンの文の骨格としては主語と動詞だけであり、I walked.だけで意味が通ります。
これはwalk(歩く)という単語が単独で使える動詞、言い換えると他の単語がなくても意味が通る動詞だから、という理由です。
「単独で使える動詞」の意味
「単独で使える動詞」という点が分かりにくいかもしれませんが、他のパターンの動詞と比べてみると分かりやすくなります。
たとえば、最初に例として挙げたI made lunch.(私は昼食を作った)の動詞 made は単独では使えません。
「作った」とだけ言っても、何を作ったのか相手に伝わらないからです。
また、I am happy.(私は幸せである)についても、動詞 am だけではどのような状態であるのか相手に伝わりません。
つまり、何かを作ったのであれば「何を」まで言わないと相手には伝わらないし、何らかの状態であるのであれば「その状態」まで明らかにしないと相手には伝わらないのです。
もう少し正確に説明すると、make という単語の意味は、単に「作る」ではなく「~を作る」です。
make が「~を作る」という意味である以上、「~」に入る単語が必要になります。
同じように、am も「~である」という意味なので「~」に入る単語が必要です。
これに対し、I walked.という例で使われている動詞 walk の意味は、単に「歩く」です。
「~へ歩く」「~まで歩く」という意味ではないので、「~」に入る単語は必要ありません。
このように、英語の動詞は、何か他の単語が「~」に入らないと意味が通らないグループと、そもそも「~」が動詞の意味に含まれておらず他の単語がなくても意味が通るグループに分類されます。
ここで文型の説明に戻りますが、第1文型は「他の単語がなくても意味が通る動詞」が使われます。
walkの意味は「歩く」であり、make や am のように「~」がないので、他の単語は必要ありません。
ですので、I walked.は第1文型となります。
ちなみに、どんな動詞が他の単語を必要とするグループで、どの動詞がそうでないグループなのかを見分ける明確な基準があればいいのですが、残念ながらそのような基準はなく、単語ごとに覚えていくしかありません。
ただ、単語を何度も使ううちに少しずつ記憶に定着していきますし、TOEICなどのテストで出題されやすい単語はある程度決まっているので心配しなくて大丈夫です。
以上が第1文型の説明となります。
第1文型は、他の単語がなくても意味が通る動詞を使うパターンですが、第2文型から第5文型までは、他の単語が「~」に入らないと意味が通らない動詞を使います。
そして、「~」の部分にどのようなパーツが必要になるかが動詞によって異なり、その動詞の違いに応じて文の構造が第2文型から第5文型まで区別されます。
第2文型
第2文型は、主語の状態や名称を説明・表現する動詞が使われるパターンです。
何度か例で挙げている I am happy.(私は幸せである)がこのパターンに該当します。
am は「~である」という意味であり、主語の状態や名称を説明・表現する動詞なので、「~」に何らかの単語が入らないと意味が通りません。
I am happy.の場合、「~」に「幸せ」という状態を意味する happy が入ってはじめて文が成り立ちます。
amはbe動詞ですが、一般動詞の例として They look lucky.(彼らは幸運に見える)なども挙げられます。
look は「見る」という意味の他に「~のように見える」という意味があります。
amと同様、この look も主語の状態や名称を説明・表現する動詞であり「~」の部分に何か単語を入れないと意味が通りません。
第2文型では形容詞だけでなく名詞も使われる
I am happy.(私は幸せである)も、They look lucky.(彼らは幸運に見える)も、「~」には形容詞が入っていますが、「~」には形容詞だけでなく名詞も入ります。
形容詞とは「悲しい、新しい、大きい」のように人や物の状態を表す言葉であり、名詞は「人間、自動車、水」のように人や物の名称を表す言葉です。
「~」に名詞が入るパターンとして I am a pianist.(私はピアニストです)や、You look a hero.(あなたはヒーローに見える)が挙げられます。
ここまで説明してきたように、第2文型では主語の状態や名称を説明・表現する動詞が使われ、状態や名称を表す単語として形容詞や名詞が入りますが、第2文型で状態や名称を表すために使われる形容詞や名詞を「補語」といいます。
第3文型
第3文型は I made lunch.(私は昼食を作った)のように「~」の部分に動作の対象となる物や人が入るパターンです。
make の正確な意味は「作る」ではなく「~を作る」ですので、何を作ったのかを「~」に入れないと意味が通りません。
他にも、I watch the movie.(私は映画を見る)、I play the guitar.(私はギターを演奏する)などの例が挙げられます。
watch の正確な意味は、単に「見る」ではなく「~を見る」、play は単に「演奏する」ではなく「~を演奏する」という意味なので、どちらの動詞も「~」の部分に動作の対象となる名詞が必要になります。
このような動詞を使うのが第3文型です。
第3文型で使われる動詞には動作の対象となる名詞が必要になりますが、このように動作の対象となる名詞を目的語と呼びます。
第3文型では動作の対象となる人や物が入らないと意味が通らない動詞が使われますが、このパターンはさらに2つの型に分かれます。
それが第4文型と第5文型です。
第4文型
第4文型は、動作の対象となる名詞が1つの文の中に2回出てくるというパターンです。
たとえば、I give you a book.(私はあなたに本をあげます)という文。
1つ目の「~」に you(あなた)という「人」が入り、2つ目の「~」に a book(本)という「物」が入ります。
他にも、He showed me a letter.(彼は私に手紙を見せてくれた)といった例が挙げられます。
この例では、1つ目の「~」に me(私)という「人」が入り、2つ目の「~」に a letter(手紙)という「物」が入ります。
つまり第4文型は、動作の対象となる人や物に対して、何か他の人や物を与えたり見せたりするような場合と言えます。
第5文型
第5文型は、動作の対象となる「~」に入る人や物に何らかの変化が起きたり、「~」に入る人や物を説明したりするというパターンです。
「~」に入る人や物の状態を表す形容詞や名称を表す名詞が、「~」の後に続きます。
たとえば、The idea made him great.(そのアイデアが彼を偉大にした)や、They call me teacher.(彼らは私を先生と呼ぶ)などです。
この場合の make は「人や物を○○の状態にする(変化させる)」という意味で、call は「人や物を○○と呼ぶ」という意味です。
この文型の特徴は、動詞の対象である人や物と、○○の内容がイコールで結ばれる関係になる点です。
1つ目の例でいうと、動詞の対象である him(彼) イコール great(偉大な、すばらしい)となりますし、2つ目の例では、me(私) イコール teacher(先生)という関係になります。
これが第5文型と呼ばれるパターンです。
以上が英文の基礎的な構造である文型の説明です。
最後に目的語と補語の意味を再確認
繰り返しになりますが、目的語と補語の意味を再確認しておきます。
上記の説明の中では動作の対象(動詞の対象)を「~」と表記しましたが、この「~」に入る単語を「目的語」といいます。
また第2文型と第5文型では動作の対象となる人や物の「状態」や「名称」という説明をしましたが、これに該当する単語を「補語」といいます。
ただし、最初の方でも書いたように、これらの文法用語を熱心に暗記したり、どのパターンが第○文型かというのを覚えたりすることが大事なのではないという点にはご注意ください。
大事なことは文の基本的な構造を理解することですので、無理に文法用語ばかりを頭に入れるような勉強はしないようにしましょう。
例文まとめ
第1回の文法は以上で終わりますが、これまで出てきた例文を最後にまとめさせて頂きます。
例文をクリックすると、説明の箇所に戻りますので、どの例文がどのような説明の中で挙げられていたのかを確認するためにご利用ください。
I walked to the station.(私は駅まで歩いた)
You look a hero.(あなたはヒーローに見える)
I play the guitar.(私はギターを演奏する)
I give you a book.(私はあなたに本をあげます)
He showed me a letter.(彼は私に手紙を見せてくれた)