今回は前置詞について学習します。
第2回【品詞 】でも概要には触れましたが、前置詞とは、名詞の前に置かれ、先に述べられた事柄との関係を表す品詞です。
前置詞は英語特有の品詞で、日本語にはありませんが、日本語の助詞、たとえば「私に」や「私を」という場合の「~に」「~を」に近い働きといえます。
ただ、第2回でお伝えしたように、日本語と英語で大きく違うのは、英語の場合、「~に」や「~を」という意味が単語自体に含まれていたり、含まれていなかったりするという点です。
たとえば、watch の正確な意味は「~を見る」ですが、look は単に「見る」です。look には「~を」という意味が含まれません。
そのため、lookを使う場合には、前置詞 at を使って「~を」という意味を補う必要があります。
つまり、look the map だと the map (地図)が look (見る)という動作の対象になっていることを表すには不十分であり、look at the map とすることで初めて the map が look の対象になっているという関係を表すことができるのです。
このように、前置詞は2つの語句の関係を表す働きを持っていますが、前置詞の後ろには動作の対象や先に述べられたことを説明する物や事柄が入ります。
その「対象」や「物、事柄」は名詞になりますので、前置詞の後ろには必ず名詞または代名詞が入ることになります。
この点は前置詞の学習で非常に重要なポイントですので、最初に押さえておきましょう。
それでは以下で各前置詞の意味を学習していきます。
ただし、前置詞は数が多く、ここで全てを扱うことはできないので、代表的なものに絞ってご紹介させて頂きます。
主に「場所」を表す前置詞
まずは、主に場所を表す前置詞からです。
場所を表す前置詞は数が多いのですが、試験でも日常会話でもよく使われますので、ポイントを押さえて理解するようにしてください。
in:中に、内側に
in は「内部」や「範囲内」という点に着目して場所を表します。
I stayed in the park.は「私は公園にいた」という和訳になりますが、特に「公園の中にいた」という意味が強くなります。
また、in には、場所の他に、将来の時点を指す使い方もあります。
たとえば、I want to be a doctor in the future.(私は将来医者になりたい)や、He will come in ten minutes.(彼は10分後に来るだろう)となります。
at:特定の場所、点、時、対象
at も場所を表しますが、ある特定の地点に着目するニュアンスになります。
I stayed at the park.も「私は公園にいた」という和訳ですが、公園という特定の地点にいたという意味が強く、必ずしも公園の中にいる必要はありません。
公園の入り口から出た所にいても、公園という地点にいる状況に変わりはないので、I stayed at the park.と言っても問題ないわけです。
また、at には動作の対象を明確にする働きもあります。
look at ~(~を見る)、laugh at ~(~を笑う)、point at ~(~を指差す)などです。
冒頭でも書きましたが、これらの動詞は、単体では「~を」という意味を持たないため、「~を」という意味を持たせたい場合に at を使って動作の対象を明確にします。
on:上に、上部に、表面に
on も場所を表す前置詞ですが、「上」や「表面」にくっついている意味になります。
たとえば、sit on the chair(椅子に座る)やput on the table(テーブルに置く)という使い方です。
ただし、表面にくっついていればよく、必ずしも位置関係が上である必要はありません。
たとえば「壁に貼ってあるポスター」は壁の上という位置関係ではありませんが、壁の表面にくっついているものなので a poster on the wall となります。
near:〜の近くに
She lived near the mountain.(山の近くに住んでいた)
I saw you near the station.(駅の近くで見た)
near は「近い」という意味の形容詞もあります。
into:〜の中に
They went into the building.(建物の中に入っていった)
I threw the bottle into the hole.(穴の中にボトルを投げ入れた)
in は中にある状態を表しますが、into は中に動いていく様子に着目して使われます。
under:〜の下に、〜の下で
I put a box under the desk.(机の下に箱を置いた)
He was waiting under the tree.(木の下で待っていた)
under repair(修理中)のように「~の最中」という意味もあります。
over:〜の上に、〜の上を越えて
I jumped over the river.(川を飛び越えた)
She put the blanket over him.(彼に毛布をかけた)
over the world(世界中で)のように「~の全面を覆い尽くす」という場合や、
over ten years old(10歳以上)のように「一定の数を越える」という場合にも使われます。
以上、主に場所を表すために使われる前置詞をご紹介しましたが、中にはここで取り上げた以外の意味を持つものもありますので、出てくるたびに意味を押さえていってください。
主に「対象」を表す前置詞
次は「対象」を表す前置詞です。
ここでは to とfor を説明しますが、前述のとおり at も「対象」を表す場合があります。
to:〜に向かって、~の方へ、~まで
to は、「〜に向かって」や「~の方へ」のように、動作の対象や行為の方向を表します。
たとえば、go to the store(お店に行く)、move to the top(頂上に向けて動く)のような使い方です。
また、to は「~まで」という意味で時間や範囲を表す場合もあります。
open to 7pm(午後7時まで開いている)や、continue to the end(最後まで続ける)などです。
for:~に向けて、~に
for も対象を表す前置詞として「~に向けて」や「~に」という意味で使われます。
たとえば、leave for Tokyo(東京へ出発する)や、work for a bank(銀行に勤める)などです。
ただし、対象を表すという点では to と同じですが、多くの場合 for は「~の利益になるように」や「~のためを思って」というニュアンスが強くなります。
たとえば、buy a present for you(あなたにプレゼントを買う)や、make a house for my dog(犬に家を作る)など、単に動作の対象というより、「あなたのため」や「犬のため」という意味になります。
また、for には「〜の目的で」という意味もあります。
study for my dream(夢のために勉強する)、walk for a break(休憩のために散歩する)などです。
その他の前置詞
of:〜の、〜から、〜に関して
1つ目の意味として「~の」という所属や所有があります。
a member of this team(このチームのメンバー)や、an idea of our company(わが社のアイデア)などです。
of の2つ目の意味は「~に関して」です。
think of the problem(その問題に関して考える)、a famous book of cooking(料理に関する有名な本)という例が挙げられます。
2つ目の「~に関して」という意味の of は about と同じです。
上の例も、of を about に置き換えて think about the problem / a famous book about cooking にすることもできます。
from:〜から
They are from New York.(彼らはニューヨーク出身です)
We open the shop from morning.(私たちは朝から店を開ける)
上のように、from は場所にも時間にも使います。
with:~と一緒に、~を使って
with は人にも物にも使われます。
「with+人」の場合「~と一緒に」という意味、「with+物」なら「~を使って」という意味になります。
「with+人」の例として、live with you(あなたと住む)や、play with you(あなたと遊ぶ)があります。
「with+物」の例は、write with a pen(ペンで書く)や、walk with a stick(杖をついて歩く)が挙げられます。
through:~を通って、~を通じて
go through the gate(門を通る)や come through the door(ドアを通って来る)のように物理的に通る場合によく使われます。
この他にも、learn through the travel(旅を通じて学ぶ)という「経験」や、sell through a year(一年を通して売る)という「期間」を表す場合などに使われます。
by:行為者(〜によって)、手段(~で)、期限(〜までに)
by は3つの意味を押さえましょう。
行為者を表す「〜によって」、手段を表す「~で」、期限を表す「〜までに」です。
行為者を表す「~によって」は、受動態(受け身)の文で使われるのが一般的です。
たとえば、This project is made by a large company.(このプロジェクトは大きな会社によって作られた)や、The boy was called by his teacher.(少年は教師に呼ばれた)という形です。
2つ目の手段は、「~で」という意味です。
たとえば、You go to work by bus.(バスで仕事に行く)、I told him by letter.(彼に手紙で伝えた)といった使い方になります。
また、I showed my idea by using a white board.(ホワイトボードを使ってアイデアを示した)のように、動詞+ingで手段を表す場合もあります。
3番目の期限は「~までに」という意味で、ある特定の時点までに行為や状態が生じる場合に使われます。
I will come back by 3pm.(午後3時までには戻ります)、The weather will be better by noon.(正午までに天気は良くなるでしょう)などを例に挙げることができます。
until:~まで
上で説明した「~までに」という by と区別して頂きたいのが until です。
until は「~まで」という意味で、ある状態が一定の時間ずっと継続することを表します。
byの所で挙げた例文とuntilの例文を比べると、違いが分かるはずです。
by の例文
I will come back by 3pm.(午後3時までには戻ります)
The weather will be better by noon.(正午までに天気は良くなるでしょう)
untilの例文
I will be out until 3pm.(午後3時まで外出しています)
The weather will be good until noon.(正午まで天気は良いでしょう)
between/among:~の間で
between the park and office(公園とオフィスの間で)という形で2つの名詞を並べる場合と、between students(学生たちの間で)という形で複数形の名詞を続ける場合があります。
betweenに近い意味を持つ前置詞として among もあります。
文法的に beween と among は想定している場面が少し異なりますが、まずは「~の間で」という意味で共通していると考えて頂いてかまいません。
接続詞と同様の意味を持つ前置詞
前回の第6回【接続詞】で取り上げた接続詞のうち、since、before、afterは前置詞としても使われ、接続詞と同じような意味を持っています。
since:~以来、before:~の前に、after:~の後で、となります。
接続詞であれば後ろに主語と述語(動詞)が入らなければならず、前置詞なら後ろに入るのは名詞ということになります。
使い分けができるようにしておきましょう。
以上が代表的な前置詞の説明です。
ここで説明した以外の意味がある場合もありますし、もちろんここでは取り扱っていない前置詞もあります。
前置詞も接続詞と同じく、英文の内容を理解するために欠かせないポイントですので、1つずつ知識を増やしていってください。
例文まとめ
最後に、この回出てきた例文をまとめておきます。
例文をクリックすると、説明の箇所に戻りますので、どの例文がどのような説明の中で挙げられていたのかを確認するためにご利用ください。
I stayed in the park.(私は公園にいた)
I want to be a doctor in the future. (私は将来医者になりたい)
He will come in ten minutes.(彼は10分後に来るだろう)
I stayed at the park.(私は公園にいた)
She lived near the mountain.(山の近くに住んでいた)
I saw you near the station.(駅の近くで見た)
They went into the building.(建物の中に入っていった)
I threw the bottle into the hole.(穴の中にボトルを投げ入れた)
I put a box under the desk.(机の下に箱を置いた)
He was waiting under the tree.(木の下で待っていた)
I jumped over the river.(川を飛び越えた)
She put the blanket over him.(彼に毛布をかけた)
They are from New York.(彼らはニューヨーク出身です)
We open the shop from morning.(私たちは朝から店を開ける)
This project is made by a large company.(このプロジェクトは大きな会社によって作られた)
The boy was called by his teacher.(少年は教師に呼ばれた)
You go to work by bus.(バスで仕事に行く)
I told him by letter.(彼に手紙で伝えた)
I showed my idea by using a white board.(ホワイトボードを使ってアイデアを示した)
I will come back by 3pm.(午後3時までには戻ります)
The weather will be better by noon.(正午までに天気は良くなるでしょう)
I will be out until 3pm.(午後3時まで外出しています)