今回は全13回にわたる基本講義の最終回、関係代名詞です。
関係代名詞は、簡単に言ってしまえば形容詞と同じ働きなのですが、種類がいくつかあるうえに、構造が複雑に思えてしまうため、苦手意識を持っている人も多いと思います。
たしかに大学入試問題などにおいては、関係代名詞を使った複雑な文が出題されることもありますが、TOEICでは他の文法事項と同じく基本的な知識しか問われませんので、必要以上に苦手意識を持つことなく取り組むようにしてください。
関係代名詞の基本
形容詞なので名詞を修飾するが、それ自体が1つの文になっているというのが関係代名詞の特徴です。
つまり、「文の中に含まれる名詞をもう1つの文で修飾するのが関係代名詞の働き」と言うことができます。
2つの文に共通する名詞が関係代名詞節の主語となる「主格」
たとえば、【A】「私は野球選手を見た」という文と、【B】「彼は世界中で有名です」という文は、それぞれ主語と述語で構成される独立した文ですが、この2つの文で述べられている「野球選手」と「彼」は同じ人を指しているので「私は世界中で有名な野球選手を見た」とまとめることができます。
このときに使うのが関係代名詞であり、【A】I saw a baseball player.【B】He is famous in the world. という2つの文に共通の a baseball player = He を起点として両者を結びつけるイメージです。
2つの文に共通する名詞が「人」の場合
上の例の場合、2つの文に共通しているのは a baseball player = He という「人」なので関係代名詞 who を使います。
そして【B】の He を who に置き換えた上で【A】の a baseball player に続けます。
このようにして2つの文をまとめると、I saw a baseball player who is famous in the world.(私は世界中で有名な選手を見た)となります。
I saw a baseball player までがメインの内容であり「主節」と呼ばれます。
一方、who is famous in the world の部分は a baseball player を修飾する「関係代名詞節」と呼ばれます。
ちなみに、who の代わりに that を使うこともできます。
先ほどの例は I saw a baseball player that is famous in the world. となります。
2つの文に共通する名詞が「物」の場合
2つの文に共通する名詞が「物」の場合、関係代名詞は which を使います。
先ほどの2つの文を「車」で書き換えてみると【A】I saw a car.(私は車を見た)と【B】It is famous in the world.(その車は世界中で有名です)となります。
この場合、2つの文に共通する名詞 a car = It を起点として両者を結びつけることになるのですが、その時に関係代名詞 which が使われ、I saw a car which is famous in the world.(私は世界中で有名な車を見た)となります。
そして、who の場合と同じく、この which も that に置き換えることが可能で、I saw a car that is famous in the world. となります。
以上のように、2つの文に共通する名詞「人」や「物」が関係代名詞節の主語としてwhoやwhichで結ばれる場合を「関係代名詞の主格」といいます。
2つの文に共通する名詞が関係代名詞節の動詞の目的語となる「目的格」
ここまで見てきた例では関係代名詞節である【B】の文で a baseball player や a car が主語になっていましたが、次は a baseball player や a car が関係代名詞節において動詞の目的語になっている場合です。
「人」が関係代名詞節の動詞の目的語になっている場合
【A】I saw a baseball player.(私は野球選手を見た)
【B】My mother loves him.(母は彼が好きです)
上に挙げた【B】の文で him(= a baseball player)は 動詞 loves の目的語になっています。
このように「人」が【B】の文の動詞の目的語になっており、その「人」を起点として2つの文を結びつける場合、関係代名詞としては whom があります。
しかし、実際には whom よりも that を使うのが一般的ですし、そのthatが省略されるケースもよくあります。
すなわち、I saw a baseball player that my mother loves.やI saw a baseball player my mother loves.となり、意味は「私は母が好きな野球選手を見た」です。
「物」が関係代名詞節の動詞の目的語になっている場合
では、2つの文に共通する名詞が「物」であり、それが関係代名詞である【B】の文における動詞の目的語になっている場合を見てみましょう。
【A】I saw a car.(私は車を見た)
【B】My mother loves it.(母はその車が好きです)
【B】の文の it(= a car)は 動詞 loves の目的語になっており、この2つの文をつなぐ場合、関係代名詞は which または that が使われます。
「人」の場合は whom よりも that の方が一般的とお伝えしましたが、「物」の場合は which も that も同等に使われます。
よって、I saw a car which my mother loves. / I saw a car that my mother loves.(私は母が好きな車を見た)となります。
ここまで、2つの文に共通する名詞が関係代名詞における動詞の目的語となっている場合について説明してきましたが、このような場合に使われる関係代名詞を「関係代名詞の目的格」と呼びます。
関係代名詞の目的格が省略される場合
先ほども書いたように、関係代名詞の目的格(whom, which, that)は省略される場合が多いです。
すなわち、以下のようになります。
目的語が「人」の場合の例
I saw a baseball player whom my mother loves.
I saw a baseball player that my mother loves.
↓(whomやthatが省略)
I saw a baseball player my mother loves. (私は母が好きな野球選手を見た)
目的語が「物」の場合の例
I saw a car which my mother loves.
I saw a car that my mother loves.
↓(whichやthatが省略)
I saw a car my mother loves. (私は母が好きな赤い車を見た)
先の文で出ている名詞を、後の文で「~の」という形で受ける場合
次は以下のような2つの文を関係代名詞でつなぐ場合です。
【A】I have a friend.(私には友達がいる)
【B】His father lives in Paris.(彼の父親はパリに住んでいる)
【B】で His father(彼の父親)と述べていますが、ここでいう「彼」とは【A】で出ている a friend を指しています。
この場合【B】の His father を whose father に変えて【A】につなげることができます。
そうすると、下のような文になります。
I have a friend whose father lives in Paris.(私には父親がパリに住んでいる友達がいます)
このような場合に使われる関係代名詞を「関係代名詞の所有格」といいます。
先ほどの例で挙げた I have a friend whose father lives in Paris. という文では、whose father が関係代名詞節の主語になっていましたが、whose fatherが関係代名詞節における動詞の目的語になる場合もあります。
たとえば、以下のような2つの文です。
【A】I have a friend.(私には友達がいる)
【B】I met his father in Paris.(彼の父親をパリで見た)
この2つの文をつなげる場合【B】his father の「彼」は【A】の a friend なので、his father を whose father に変えて【A】につなげます。
そうすると、I have a friend whose father I met in Paris. となります。
このパターンの関係代名詞の文は日本語に訳すのが少し難しく、「私には友達がいて、その父親をパリで見た」という感じにするしかありません。
関係代名詞のwhat
これまでの関係代名詞は、who や which, that などで始まる関係代名詞節が主節の「人」や「物」を修飾するパターンでしたが、最後にもうひとつ別パターンの関係代名詞を説明します。
それは、「~すること」や「~するもの」を表す what です。
この what の後には、他の関係代名詞と同じように「主語+述語」が続きます。
ただ、他の関係代名詞節が前の文(主節)を後ろから修飾する関係だったのに対し、この what 以下に作られる関係代名詞節は、全体が名詞となります。
そして前の文(主節)の動詞の目的語や補語になったり、関係代名詞節自体が主語になったりします。
以下に例を示します。
関係代名詞節が前の文(主節)の動詞の目的語になっている場合
I know what you want to do.(あなたがしたいことを私は知っている)
I don’t need what they showed.(彼らが見せたものは私には必要ない)
関係代名詞節が前の文(主節)の動詞の補語になっている場合
The plan has become what I imagined.(計画は私が想像したものになった)
The idea seems what he wanted.(その考えは彼が求めていたもののようだ)
関係代名詞節自体が文の主語になっている場合
What you said is very important.(あなたが言ったことはとても重要だ)
What she is making will change the world.(彼女が作っているものは世界を変えるだろう)
以上で関係代名詞の説明を終わります。
ここで説明した以外にも、関係代名詞にはいくつか発展的な内容がありますが、まずはここに説明した内容をしっかり頭に入れて、文の構造が理解できるようにしてください。
例文まとめ
最後に、この回出てきた例文をまとめておきます。
例文をクリックすると、説明の箇所に戻りますので、どの例文がどのような説明の中で挙げられていたのかを確認するためにご利用ください。
I saw a baseball player who is famous in the world.(私は世界中で有名な選手を見た)
I saw a car which is famous in the world.(私は世界中で有名な車を見た)
I saw a car which my mother loves. / I saw a car that my mother loves.(私は母が好きな車を見た)
I have a friend whose father lives in Paris.(私には父親がパリに住んでいる友達がいる)
I have a friend whose father I met in Paris.(私には友達がいて、その父親をパリで見た)
I know what you want to do.(あなたがしたいことを私は知っている)
I don’t need what they showed.(彼らが見せたものは私には必要ない)
The plan has become what I imagined.(計画は私が想像したものになった)
The idea seems what he wanted.(その考えは彼が求めていたもののようだ)
What you said is very important.(あなたが言ったことはとても重要だ)
What she is making will change the world.(彼女が作っているものは世界を変えるだろう)