今回は受け身(受動態)について学習します。
受け身のポイントは文の基本構造を理解することと、動詞の変化を覚えることです。
特に後者、動詞の変化はすぐに全てを覚えられるものではないので、受験生にとって悩みの種となります。
そのため、優先順位の高い動詞から戦略的に覚えていくことが重要です。
受け身の基本構造
まずは、受け身の文の基本的な文の構造を把握しておきましょう。
基本構造は、通常の文(能動態)における動詞の目的語である名詞が、受け身の文の主語になり、動詞は「be動詞 + 過去分詞」となります。
元の文の主語、つまり行為者はどうなるかというと、受け身の文になることで姿を消したり、「~によって」という意味の前置詞 by の後ろに現れたりします。
つまり「主語 + be動詞 + 過去分詞 + (by 行為者)」という形です。
たとえば、
・通常の文(能動態):Someone left a bag on the table.(誰かがテーブルにバッグを忘れていた)
・受け身の文(受動態):A bag was left on the table.(バッグがテーブルに忘れられていた)
・通常の文(能動態):Many people loved the movie.(多くの人がその映画を愛した)
・受け身の文(受動態):The movie was loved by many people.(その映画は多くの人に愛された)
受け身の文において行為者が消えるかそれとも by を使って表示するかは、話し手または書き手の好みや、その他の状況によって変わりますが、表示させない方が一般的です。
動詞の変化
冒頭にも書いたように、受け身の文では動詞の変化を押さえることが非常に重要になってきます。
英語の動詞には「原形・過去形・過去分詞」という3つの形があり、受け身の文では過去分詞が使われます。
walk → walked のように、単に ed を付けるだけで過去分詞になる動詞なら何の苦労もないのですが、実際には think → thought のように原形と過去分詞で形の違う動詞も多く、また逆に cut → cut のように全く形が変わらない動詞もあるから厄介です。
ed を付けるだけで過去分詞になる動詞を規則動詞、形が変わってしまう動詞を不規則動詞と呼び、不規則動詞はさらに変化のパターンが分かれます。
以下では、それぞれのパターンにおける代表的な動詞をご紹介します。
なお、一般的な例に従い、原形 → 過去形 → 過去分詞 の順で表記しています。
1.規則動詞の過去分詞(原形 + ed で過去分詞になる動詞)
・clean(~を掃除する): clean → cleaned → cleaned
・visit(~を訪れる):visit → visited → visited
ちなみに、love や create など、e で終わる動詞は loved / created のように d を付けるだけです。
2.不規則動詞の過去分詞
不規則動詞はさらにいくつかのパターンに分けることができます。
2-1.原型と過去形・過去分詞が同じパターン
・cut(~を切る) :cut → cut → cut
・let(~させる):let → let → let
2-2.過去形と過去分詞が異なるパターン
・see (~を見る):see → saw → seen
・write (~を書く):write → wrote →written
・take(~を取る):take → took → taken
・speak (~を話す):speak → spoke → spoken
2-3.過去形は異なるが、原形と過去分詞が同じになるパターン
・come(来る):come → came → come
・run(走る):run → ran → run
動詞によっては get(~を手に入れる) のように過去分詞が2種類あるものや(get → got → got/gotten)、dream のようにedを付けるパターンとed以外の変化を見せるパターンの2種類を持つ動詞(dream → dreamed → dreamed / dream → dreamt → dreamt)もあります。
この get や dream といった動詞の過去分詞の変化は、英語がイギリス英語とアメリカ英語に分かれたり、歴史的な影響を受けたりしてきた結果なのですが、こういった基本型以外のケースもある点が、過去分詞の理解を難しくしている要因とも言えます。
受け身の文の勉強は、さまざまなパターンの動詞の変化を覚えることが大部分になりますが、これに関しては学習の過程で出てきたものをコツコツと覚えていくしかありません。
ただ、TOEIC受験に限っていえば、あらかじめ選択肢が提示されており、その中から選べばよいだけなので、なにがなんでも全部を覚えなければならないという話ではありません。
最初から全てを覚えてしまおうとしても効率的ではないので、少しずつ頭に入れていくようにしましょう。
例文まとめ
最後に、この回出てきた例文をまとめておきます。
例文をクリックすると、説明の箇所に戻りますので、どの例文がどのような説明の中で挙げられていたのかを確認するためにご利用ください。
Someone left a bag on the table.(誰かがテーブルにバッグを忘れていた)
A bag was left on the table.(バッグがテーブルに忘れられていた)
Many people loved the movie.(多くの人がその映画を愛した)