今回のテーマは不定詞と動名詞です。
不定詞とは「to+動詞の原形」で作られるまとまりで、複数の用法を持ちます。
それぞれの働きに「~的用法」という名称が付けられており、それによって難しそうなイメージを持たれている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、役割としてはこれまで学習してきた品詞と同じですので、イメージにとらわれすぎて苦手意識を持たないようにしてください。
また、動名詞は「動詞+ing」の形で「~すること」という意味になり、これは後述する不定詞の名詞的用法と同じ働きです。
不定詞と対比しながら学習した方が効率的ですので、ここで一緒にご紹介いたします。
名詞的用法
名詞的用法は「to+動詞の原形」が「〜すること」という意味になり、名詞のように働く場合です。
文の主語や動詞の目的語、補語としていろいろな名詞が使われますが、それが「to+動詞の原形」に変わるだけです。
例を挙げると、This book is difficult.(この本は難しい)という文の主語である This book が To swim fast (速く泳ぐこと)に変われば、To swim fast is difficult.(速く泳ぐことは難しい)となります。
また、I like music.(私は音楽が好きだ)という文で、動詞like の目的語である music が to drive (運転すること)に変われば、I like to drive.(私は運転することが好きだ)になります。
同様に、My hobby is volunteer activity.(私の趣味はボランティア活動です)という文で is の補語 volunteer activity が to walk around (辺りを散歩すること)に変われば、My hobby is to walk around.(私の趣味は辺りを散歩することです)になります。
形容詞的用法
この用法では「to+動詞の原形」が名詞を修飾する形容詞のように働きます。
意味は「〜するための」になります。
通常は「to+動詞の原形」が名詞の後ろに位置し、その名詞の特徴や目的を説明します。
たとえば、I have a lot of homework to finish by this weekend.(私は今週末までに終わらせるべき宿題がたくさんあります)という文では to finish by this weekend が a lot of homework を後ろから修飾して、どのような宿題なのかという特徴を説明しています。
また、This is a very good room to read a book.(ここは本を読むのにとても良い部屋です)という文では to read a book が a very good room を後ろから修飾して、何をするための部屋なのかという目的を説明しています。
副詞的用法
この用法では「to+動詞の原形」が「〜するために」という意味で動詞を修飾したり、「〜することで」という意味で形容詞の内容を補足したりします。
動詞を修飾する例は、I studied every day to pass the examination.(私は試験に合格するために毎日勉強した)です。
この文では to pass the examination が studied every day という行為の目的を表現しています。
形容詞を補足する例は、I am happy to help you.(私はあなたをお手伝いできて嬉しいです)が挙げられます。
この文では to help you が happy という感情の内容を補足しています。
否定の不定詞
ここまで見てきたように、不定詞は「to + 動詞の原形」という形で「~すること」や「~するために」といった意味になりますが、「~する」ではなく「~しない」という否定の内容にする場合は「not to + 動詞の原形」という形です。
このように否定の不定詞は、単純に to の前に not を付け加えることで作られます。
これにより、その後に続く動詞は否定され、「その動作を行わないこと」を表すようになります。
たとえば、I told her not to be late.(彼女に遅れないように伝えた)や、I will advise him not to think any more.(私は彼にこれ以上考えないようにとアドバイスするつもりだ)などです。
ちなみに、notよりも否定の意味を強くするために never(決して~ない)を使うこともできます。その場合は never to ~ となります。
I told her never to be late.(私は彼女に決して遅れないように伝えた)という使い方です。
不定詞と動名詞の区別
冒頭でも触れましたが、不定詞の名詞的用法と同じ働きをするものとして動名詞があります。
動名詞は「動詞+ing」の形で、「~すること」という意味です。
たとえば、running(走ること)、sitting(座ること)、eating lunch(昼食をたべること)などです。
動詞によっては、「~すること」という意味の目的語として
・不定詞しか使えない動詞
・動名詞しか使えない動詞
・両方とも使える動詞
・不定詞と動名詞どちらを使うかによって意味が変わる動詞
というパターンがあります。
これらの動詞はTOEICの文法問題でも出題されやすいので、ここでまとめておきます。
目的語に不定詞しか取らない動詞
1.agree(同意する)
例:He agreed to help us.(彼は私たちを手伝うことに同意した)
2.decide(決定する)
例:She decided to leave early.(彼女は早く出ることに決めた)
3.hope(望む)
例:I hope to see you soon.(私はあなたにすぐ会えることを望んでいる)
4.offer(申し出る)
例:She offered to help with the project.(彼女はプロジェクトを手伝うことを申し出た)
5.fail(失敗する)
例:He failed to complete the task.(彼は仕事を完成させることに失敗した)
目的語に動名詞しか取らない動詞
1.enjoy(楽しむ)
例:I enjoy reading books.(私は本を読むのを楽しむ)
2.avoid(避ける)
例:He avoids going to crowded places.(彼は混んだ場所に行くのを避ける)
3.practice(練習する)
例:They practice swimming fast.(彼らは速く泳ぐ練習をしている)
4.mind(気にする)※否定文・疑問文で
例:I don’t mind working on Sunday.(私は日曜日に働くことが気にならない)
5.finish(終える)
例:He finished painting the wall.(彼は壁を塗り終えた)
目的語に不定詞と動名詞どちらも取れる動詞
1.begin(始める)
She began to speak. / She began speaking.(彼女は話し始めた)
2.start(始める)
They started to run. / They started running.(彼らは走り始めた)
3.like(好む)
She likes to read books. / She likes reading books.(彼女は本を読むのが好きだ)
4.love(愛する)
I love to travel. / I love traveling.(私は旅行するのが好きだ)
5.continue(続ける)
He continued to work. / He continued working.(彼は働き続けた)
不定詞と動名詞で意味が変わる動詞
1.remember
・remember to do:これから行うべきことを覚えている
例:I remember to call you.(私はあなたに電話しなければならないことを覚えている)
・remember doing:過去に行ったことを覚えている
例: I remember calling you.(あなたに電話したことを覚えている)
2.forget
・forget to do:~することを忘れる
例:He will forget to meet you.(彼はあなたに会うことを忘れるだろう)
・forget doing:~したことを忘れる
例:He will forget meeting you.(彼はあなたに会ったことを忘れるだろう)
3.try
・try to do:~しようと努力する
例:I tried to solve the problem.(私は問題を解決しようと努力した)
・try doing:試しに~してみる
例:I tried solving the problem.(私は問題を解決しようと試みた)
例文まとめ
最後に、この回出てきた例文をまとめておきます。
例文をクリックすると、説明の箇所に戻りますので、どの例文がどのような説明の中で挙げられていたのかを確認するためにご利用ください。
To swim fast is difficult.(速く泳ぐことは難しい)
I like to drive.(私は運転することが好きだ)
My hobby is to walk around.(私の趣味は辺りを散歩することです)
I have a lot of homework to finish by this weekend.(私は今週末までに終わらせるべき宿題がたくさんあります)
This is a very good room to read a book.(ここは本を読むのにとても良い部屋です)
I studied every day to pass the examination.(私は試験に合格するために毎日勉強した)
I am happy to help you.(私はあなたをお手伝いできて嬉しいです)
I told her not to be late.(私は彼女に遅れないように伝えた)
I will advise him not to think any more.(私は彼にこれ以上考えないようにとアドバイスするつもりだ)
He agreed to help us.(彼は私たちを手伝うことに同意した)
She decided to leave early.(彼女は早く出ることに決めた)
I hope to see you soon.(私はあなたにすぐ会えることを望んでいる)
She offered to help with the project.(彼女はプロジェクトを手伝うことを申し出た)
He failed to complete the task.(彼は仕事を完成させることに失敗した)
I enjoy reading books.(私は本を読むのを楽しむ)
He avoids going to crowded places.(彼は混んだ場所に行くのを避ける)
They practice swimming fast.(彼らは速く泳ぐ練習をしている)
I don’t mind working on Sunday.(私は日曜日に働くことが気にならない)
He finished painting the wall.(彼は壁を塗り終えた)
She began to speak. / She began speaking.(彼女は話し始めた)
They started to run. / They started running.(彼らは走り始めた)
She likes to read books. / She likes reading books.(彼女は本を読むのが好きだ)
I love to travel./I love traveling.(私は旅行するのが好きだ)
He continued to work. / He continued working.(彼は働き続けた)
I remember to call you.(私はあなたに電話しなければならないことを覚えている)
I remember calling you.(私はあなたに電話したことを覚えている)
He will forget to meet you.(彼はあなたに会うことを忘れるだろう)
He will forget meeting you.(彼はあなたに会ったことを忘れるだろう)
I tried to solve the problem.(私は問題を解決しようと努力した)